2023/3/1 イスラエル政治のいま

カバー画像:テル・アビブ市内での左派のデモ。虹色のLGBTQ旗は一見司法改革とは直接関係ないように見えますが、司法改革によってLGBTQの権利が制限される可能性があり、彼らは懸念しているそうです。(今回の記事では触れていません。)
Photo Credit: Motohiro Onishi (Feb 18, 2023)
シャローム!
取り上げるニュースは3つとも暗いので、少し明るく美味しいイスラエルのラーメン事情から。
めんてんてんのラーメン。豚骨、豚チャーシュー、ネギ、めんま、にたまご。これだけ見れば日本ですよね。幸せです。小物もすべて日本のもので、右上の箸入れやKIRINのカップなど、こだわりを感じます。Photo Credit: Moses Toshimasu(Feb 22, 2023)
めんてんてんのラーメン。豚骨、豚チャーシュー、ネギ、めんま、にたまご。これだけ見れば日本ですよね。幸せです。小物もすべて日本のもので、右上の箸入れやKIRINのカップなど、こだわりを感じます。Photo Credit: Moses Toshimasu(Feb 22, 2023)
先日、ついにテルアビブのラーメンをいただきました。
こちらの日本人の方のごちそうで、幸せな時間でした…
私達が今回訪れたのは、テルアビブのすべてのレストランの中でも5本の指に入ると言われる人気店「Men Tenten」です。
めんてんてんの店内。右下にみえるのは「とんがらラーメン」の文字。豚骨のことです。Photo Credit: Moses Toshimasu(Feb 22, 2023)
めんてんてんの店内。右下にみえるのは「とんがらラーメン」の文字。豚骨のことです。Photo Credit: Moses Toshimasu(Feb 22, 2023)
この麺てんてん、本店は東京にあります。
日本のラーメンをこよなく愛するイスラエル人が、日本全国1,000以上のラーメン屋をめぐり、イスラエル人の好みに合うラーメンは探してたどりついたお店なんだとか。
オーナーシェフのまことさんは、イスラエリーの熱烈な口説きに動かされて、テルアビブへの出店を決めたそうです。
店の看板。MEN TENTEN Ramen Bar Izakaya by MAKOTO OKAZAKIの文字。イスラエルでは日本食(自称含む)が大人気です。特に、このIzakayaスタイル、日本の居酒屋を模したカジュアルなバーレストランはテルアビブだけでも複数あります。
Photo Credit: Moses Toshimasu(Feb 15, 2023)
店の看板。MEN TENTEN Ramen Bar Izakaya by MAKOTO OKAZAKIの文字。イスラエルでは日本食(自称含む)が大人気です。特に、このIzakayaスタイル、日本の居酒屋を模したカジュアルなバーレストランはテルアビブだけでも複数あります。 Photo Credit: Moses Toshimasu(Feb 15, 2023)
今日は偶然まことさんがイスラエルにいらっしゃり、ラーメンを作ってくださいました。
イスラエルとは思えないおいしさの、完全に日本のとんこつラーメンに心もお腹も大喜びでした。

イスラエル政治のいま

さて、イスラエルの政治情勢について簡単なアップデートです。 私は普段どおりの日常生活ですが、エルサレムや西岸地区、ガザ周辺のアシュケロン・アシュドトでは緊張が高まっています。

○ 西岸地区のフワラでの襲撃事件

2/26の夜、西岸地区でイスラエル人入植者の若者2人がパレスチナ人に殺害されました。先週、イスラエル軍がナブルス(西岸のパレスチナ支配地域で、最も治安の悪い地域の一つ)で行った大規模空襲への報復とみられています。なお、空襲ではパレスチナ人 11人が死亡、100名以上が重軽傷を負いました。ここのところ、毎週のようにイスラエル軍は空襲を行っています。
この2名の殺害に対して、イスラエル人の過激派が、パレスチナ人地区への襲撃を行いました。別の町でも昨日、同様の事件が起きています。
ハマスは、フワラでの襲撃は「宣戦布告であり、一線を越えた」と発表しました。 先日お送りしたように、西岸地区の情勢は緊迫しており、予断を許さない状況です。

○ イランの核濃縮

イランは核分裂性ウラン(U235)の核燃料を84%までの濃縮に成功したことが報じられています。核兵器用には90%以上濃縮されたものが使用されます。
元イスラエル国家安全保障担当首相顧問の教授によれば、これからの数週間はイランの核兵器保有が実現するかどうかの瀬戸際であるとのことです。
これまでイスラエルは敵対国の核保有を、軍事手段の使用を含めて阻止してきました。教授は、これまでと異なり、イスラエルの国内政治が分断されているため、冷静な対応が取りにくいことを懸念しています。

○ アカバ・コミュニケ

2/26、アカバ(ヨルダン)でイスラエル、パレスチナ、アメリカ、ヨルダン、エジプトの安保担当者が会談を行い、アメリカの発表によればイスラエル/パレスチナ双方は沈静化に向けて努力する、イスラエルは西岸での入植を凍結する、などの8点で合意し、コミュニケを公表しました。
一方、ネタニヤフ首相は同コミュニケの発表直後に、西岸での入植凍結を否定しています。首相のコメントが、実際には合意したものの、右派の反対を抑えるための意図的な嘘か、それとも本当に首相の意図に反して合意が行われたかは不明です。

さいごに

現段階では、私の住むテルアビブを含め大多数の地域は極めて平和です。
一方、西岸地区、ガザ、エルサレムでは対立が先鋭化しており、さらなる武力衝突が予想されています。
どうぞイスラエルの平和のため、また、イスラエル・パレスチナの政策当局者たちのためにお祈りください。

参考

英語が多いですが、もしご興味がありましたら以下のサイトをご参照ください。なお、「」内はタイトルの翻訳ではなく、記事の大体の内容を訳してるものがほとんどです。

◇ フワラでの襲撃 ・The Jerusalem Post(左派系・イスラエルの2大新聞のひとつ)「フワラでの入植者が暴力」
・The Washington Post「先週のIDF攻撃について
◇ イランの核濃縮
〈日本語〉 ・Arab News Japan「イランが84%までウラン濃縮
〈英語〉 ・The Jerusalem Post「イランの核濃縮について分析」 中露との関係についても記されています。
◇ アカバコミュニケについて ・ アメリカ国務省発表「アカバ共同コミュニケ」 ・Times of Israel(中道左派)「ネタニヤフ反対」 ・HaAretz(右派系・2大新聞のひとつ)「アカバコミュニケについて