ヨムキプールのエルサレム

シャローム!
先週の10/4~10/5はヨムキプール(大贖罪の日)でした。
ヨムキプールの日は、イスラエルが国中を上げて、仕事も止め、車も止め、食事も水も飲まず、神様の前に罪を悔い改めます。
この特別な日、Tさんとご友人のご夫婦のご好意でエルサレムの新市街で過ごすことができました。
残念ながら、シナゴーグでの礼拝の様子は撮影厳禁でした。お見せすることができず申し訳ないです。
また、聖書解釈上の誤解や、ユダヤ教の慣習等について網羅できていない部分も多いと思います。正確にお伝えしたいと思っておりますので、もし訂正や追加がございましたら、コメント欄やLINE等で教えていただけると嬉しいです😊
*カバー写真は、エルサレム新市街にて。道路を自転車で走る子供たち。(Oct 5, 2022. Photo Credit: Mose TOSHIMASU)

ヨムキプールとは

ヨムキプールの起源は律法の規定にあります。
民数記より一部抜粋です。
民数記 29章7~11節(抜粋) この第七の月の十日には、あなたがたは聖なる会合を開き自らを戒めなければならないいかなる仕事もしてはならない。 あなたがたは、主への芳ばしい香りとして、全焼のささげ物、すなわち、若い雄牛一頭、雄羊一匹、一歳の雄の子羊七匹を献げよ。それらはあなたがたにとって傷のないものでなければならない。それに添える穀物のささげ物については[…] さらに罪のきよめのささげ物として[…]
内容を整理すると、ヨムキプールとは次のような祭りです。
  1. 第7の月の10日に行う
  1. 聖なる会合を開く
  1. 自らを戒める
  1. 仕事をしない
  1. ささげものをささげる
本記事では、このポイントをベースに実際に体験した時系列順に整理し直して、ご報告いたします。
なお、内容についてはガイドのTさんと、そのご主人のYさんから伺った内容をもとにまとめています。

1. ヨムキプールのスケジュール

まず、ヨムキプールの日程です
この第七の月の十日には 民数記 29章7節
エルサレムでは、今年のヨムキプールは10/4の18時から10/5の19時にかけて行われました。
場所によって開始時間も異なるそうで、テルアビブでは18:02スタートだったそうです。
10/4 17:00ごろの夕焼け(ヨムキプール開始の1時間前くらい)写真ではほとんど夕焼けは写っていませんが、綺麗な夕焼けでした笑 (Oct 4, 2022. Photo Credit: Mose TOSHIMASU)
10/4 17:00ごろの夕焼け(ヨムキプール開始の1時間前くらい)写真ではほとんど夕焼けは写っていませんが、綺麗な夕焼けでした笑 (Oct 4, 2022. Photo Credit: Mose TOSHIMASU)
今回、私が体験した大まかな流れ
10/4
17:00~ 断食前の食事
18:00~ ヨムキプール開始
19:00~21:00 シナゴーグ巡り
10/5
10:00~15:00 エルサレム旧市街へ。西壁巡り。
18:00~19:00 最後の祈り @イラク系のシナゴーグにて
19:30~ ヨムキプール明けの夕食

2. 断食

自らを戒めなければならない。 民数記 29章7節
関連箇所(一部抜粋)
あなたがたは自らを戒め、食物のささげ物を主に献げなければならない。 レビ記 23章27節
ヨムキプールといえば断食です!
ユダヤ教ではこれらの聖書箇所にある「自らを戒め、食物のささげ物を献げる」というのを、断食と解釈しているそうで、現代でも多くのユダヤ人たちが断食をします。
今回、私も食物は食べないけど水は飲む「ソフト断食」に挑戦しました。
この日合計して15km以上歩いたのですが、40年以上ヨムキプールに断食をしているYさんは水飲まなくても平気だ、とおっしゃっていました。
すごいですね。
ヨムキプール前後の食事事情
Yさんのお宅でとってもおいしい夕食をご馳走になりました!今思い出してもよだれがでそうです😋
Yさん宅での夕食。ショウガ入りのかぼちゃスープ、鯛に近い魚のグリル、ポテトのグリル、トマトとモッツァレラのカプレーゼ、トマトソースのハンバーグなど。白米に日本のふりかけもいただきました。ご馳走です。(Oct 4, 2022. Photo Credit: Mose TOSHIMASU)
Yさん宅での夕食。ショウガ入りのかぼちゃスープ、鯛に近い魚のグリル、ポテトのグリル、トマトとモッツァレラのカプレーゼ、トマトソースのハンバーグなど。白米に日本のふりかけもいただきました。ご馳走です。(Oct 4, 2022. Photo Credit: Mose TOSHIMASU)
食事の前の祈り
安息日にも似たようなことをするそうですが、食事の前に、Yさんが今年1年の祝福を祈ります。

3. 祈りの集まりと、現代のささげもの

あなたがたは聖なる会合を開き 民数記 29章7節
あなたがたは、主への芳ばしい香りとして、全焼のささげ物を献げよ。 民数記 29章8節
ヨムキプールの祈りの集会
ヨムキプールの日には3度大きな祈りの集いが開かれます。
今回だと、10/4の夕方、10/5の朝、夕に計3回ありました。ちなみに、お昼の12時〜15時くらいは太陽が暑いので各自休むそうです。
ところで、ヨムキプールに3度祈りの集会を開く、という命令は聖書の中にはありません。一方で、聖書に規定のあるささげものについては、現在行われていません。
3度の祈りの起源
AD70年にローマによって神殿が破壊される以前は、神殿でささげものが捧げられていました。しかし、神殿破壊後、各地に離散したユダヤ人たちはささげ物を献げる代わりに、祈りを捧げるようになりました。AD5~6世紀ごろには現在のようなスタイルが確立したとされているそうです。
ヨムキプールのための祈祷書
普段の安息日に捧げられる祈りと異なり、ヨムキプールには、特別の祈祷書があります。罪の悔い改め、神様の赦しを求める内容だそうです。
遠くからですが、こんな感じの祈りです。
エルサレム新市街にあるイタリア系シナゴーグにて。メロディをつけて祈っています。(Oct 4, 2022. Photo Credit: Mose TOSHIMASU)
祈りはこんな感じの流れで行われます。
  • 集会全体での祈りの前に、静かに個人が神の前に祈る
  • 祈りをリードする人が祈祷書を読む。
  • 集会全体が答える。(アーメン、など) 意味があるのか不明ですが、「あ〜〜」とか「む〜〜」みたいに叫んでいるシナゴーグもありました。
出身地と、祈りのスタイル
今回シナゴーグを案内してくださったYさんは、様々なシナゴーグをめぐって、友人たちに会うのが楽しみだそうで、7カ所ほどシナゴーグを巡りました。
アシュケナジム(欧州系ユダヤ人)、セファルディー(中東系ユダヤ人)と言われるように、東欧系、シリア系、イタリア系、モロッコ系など出身地ごとに数多くの会堂があります。
祈りの内容は一緒でも、そのスタイルは、歌うように祈ったり、大声で叫ぶように祈ったりと様々です。
実際、シリア系ユダヤ人(セファルディー系)の会堂で、ご自身もセファルディー系というYさんのご友人とお話ししたのですが、「セファルディー系の祈りはメロディがあっていいだろう?アシュケナジー系の祈りはさけんでるだけだから笑」とおっしゃっていました。どこでも郷土のスタイルが一番なのは変わらないようです。

4. 仕事をしない。運転もしない。

いかなる仕事もしてはならない。 民数記 29章7節
この日、イスラエル中が休みになります。
全ての仕事が休みにななので、スーパーも含め全ての店も閉まっています。
運転も仕事だそうで、一部の世俗はを除いて全く運転をしません。
次の動画はヨムキプール2日目の朝9時ごろにエルサレム新市街にある住宅街で撮影した動画です。
朝9時ですが、街を静寂が覆っており、聞こえるのは鳥の鳴き声だけです。
耳をすませば、下の道路を散歩する人の足音さえ聞こえるくらい静かでした。
静かなエルサレム。鳥の鳴き声しか聞こえません。こんなに静かなのはこの日とコロナのロックダウン中のみだったそうで。 (Oct 5, 2022. Credit: Mose TOSHIMASU)
全く車が走っていません。奥には子供たちが自転車で遊んでいます。(Oct 5, 2022. Photo Credit: Mose TOSHIMASU)
世俗派の人にとっては、この日は自転車のお祭りの日です。
ヨムキプールは自転車の祭りでもあります。エチオピア系の子供たちが自転車で遊んでました。(Oct 4, 2022. Photo Credit: Mose TOSHIMASU)

5. 最後の祈り

Yさんと一緒に、イラク系シナゴーグで、ヨムキプール最後の祈りに集いました。
この祈り、私は全く理解できないかったのですが、ことばでは形容できない感動に心打たれました。
この感動を十分に言葉で表現できず歯がゆいです。
Yさんと。最後の祈りに出かける直前の写真です。(Oct 5, 2022. Photo Credit: T.S.さん)
Yさんと。最後の祈りに出かける直前の写真です。(Oct 5, 2022. Photo Credit: T.S.さん)
最後の祈りでは、ヨムキプールのための祈祷書がまず読まれました。祈りのリーダーが祈祷書を読み、それに会衆がアーメンと答えます。
終わりに近づくと、レビ族の人が会衆の家族を祝福する祈りを捧げます。
トーラーが開かれ、祝福の祈りが捧げられていました。
この日だけ、子供たちもリードすることが許されるそうで、会衆の小さい子供たちも祈りのリードをしていました。
最後に、もう一度レビ族のリーダーがイスラエルを祝福するための祈りを捧げていました。
イスラエルに祝福があるように、1年が守られるように、神の光にうちに歩むことができるように、平和があるように、仕事がうまくいくように、給料が良くなるように、健康であるように、などだと教えていただきました。
全く何を言ってるのかわからなかったのですが、天国での礼拝がこんな感じなのかなと思うと、感動の涙が止まりませんでした。
実に、キリストこそ私たちの平和です。キリストは私たち二つのものを一つにし、ご自分の肉において、隔ての壁である敵意を打ち壊し、 様々な規定から成る戒めの律法を廃棄されました。こうしてキリストは、この二つをご自分において新しい一人の人に造り上げて平和を実現し、 二つのものを一つのからだとして、十字架によって神と和解させ、敵意を十字架によって滅ぼされました。 エペソ人への手紙 2章14~16節 聖書 新改訳2017©2017新日本聖書刊行会
シナゴーグでのヘブライ語の祈りは、異邦人の私が救われていることがどれほど大きな恵みなのかを味わう特別な時間でした。
同時に、このみことばを文字通りに体験する日が来るように、ユダヤ人と異邦人が共にイエスキリストの名によって礼拝を捧げる日を待ち望みながら、ユダヤ人の救いのために祈りたい。そのような思いが強くされたヨムキプールとなりました。
エルサレムを散歩するユダヤ教の方。キッパ被ってます。(Oct 5, 2022. Photo Credit: Mose TOSHIMASU)
エルサレムを散歩するユダヤ教の方。キッパ被ってます。(Oct 5, 2022. Photo Credit: Mose TOSHIMASU)

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